絵の下手な素人が手作り絵本を作った話

はじめての手作り絵本 制作プロセス
要旨
  • 絵心ゼロの素人が、もうすぐ生まれてくる子供に何かしたくて、手作り絵本を作った話。
  • 白いノートに、犬を主人公とした絵本を創作で描いてみた。
  • 絵が下手でも、世界に一冊の本が出来上がり、思いの他大切な宝物になった(家族にとって)
  • 絵を描くのが楽しくなり、本格的な練習を始めるきっかけになった。

手作り絵本が作れる白いノートをご存じですか?

表紙も中身もすべてが真っ白で、簡単に創作絵本を作る事ができます。絵が下手でも簡単に作品を作る事ができ、意外に思い入れの強いアイテムになります。私と妻とで一緒に絵とストーリーを考え、我が家では買った絵本よりも、よっぽど捨てづらい宝物になりました。

もうすぐ生まれてくる我が子への最初のプレゼントとして

ある日、数か月後に出産を控えた妻から、一冊のノートを貰いました。真っ白な表紙に真っ白な画用紙が 14枚分製本されただけの、シンプルなノートでした。

画用紙絵本ノート(130mmx130mm )

奥さんが「産まれてくる赤ちゃんに、世界で一冊の絵本を描いてあげて!」と言うので、内心は「いきなりハードル高い事言うなぁ・・・」と思いましたが、何事もやってみよう、と、製作に取り掛かりました。

絵本の主人公は「いぬさん」に決定

この時作ったキャラクターが、本ブログのメインテーマにもなる「いぬさん」です。以下が最初のビジュアルです。

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生まれる前の子供をイメージしていましたので、あえて名前は付けず「いぬさん」としました。

この「いぬさん」にはモデルがありまして、それがこちらの羊毛フェルト版「いぬさん」です。

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羊毛フェルトとは「ニードル」という細い刻みが入った特殊な針で羊毛(ウール)の繊維を絡め合わせて作る手芸の一種です。

これも妻の勧めで、百円均一ショップで購入していくつか作っていたのですが、この「いぬさん」が妻からの1番のヒット作でした。

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当時作った羊毛フェルト達です。一番左がオリジナル「いぬさん」です。

手作り絵本のストーリー

実際に作った絵本が以下です。

まだ生まれてもいない娘を主人公の「いぬさん」に重ねるイメージで作ったので、「いぬさん」は基本的に何もできません。

いぬさん絵本のストーリー

起:主人公はいぬさん。お腹が空いているので、出会った生き物たちに「それ、ちょーだい」と食べ物をねだる。

承:道で出会った生き物たちからは食べ物を分けてもらえない。いぬさんはお腹が空き過ぎて泣き出してしまう。

転:象が現れ、リンゴを分けてくれる。いぬさんは、手に入れたリンゴを、今度は他の動物に分けてあげる。

結:動物たちからもらった果物の種から芽が育ち、たくさんの木の実が成る。最後には皆んなで仲良く木の実を食べる。

それでは、実際の絵本原画を貼ります⬇︎

シーン①:アリとの出会い

いちごを運ぶアリとの出会い。3匹のアリにそれぞれ個性を持たせています。

あるひ、おなかがすいた いぬさんは 3びきの ありさんと であいました。

ありさん:「わっしょい」、「わっしょい」

いぬさん:「あ、ありさん。こんんにちは。おいしそうな イチゴだね。それ ちょうだい。

シーン②:アリとの出会い その2

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アリが話すシーンなので、先頭のアリを中心にしました。

ありさん:「やぁ いぬさん。こんにちは。このいちごは あげられないよ。」

いぬさん:「えー。どうして?」

シーン③:いちごを運ぶアリ

遠くからイチゴを運んでいる様子。今振り返ると、場面や時系列がジャンプしていて、子供には理解しづらそうですね。

ありさん:「ぼくたちは、ずっととおくから がんばって はこんできたんだ。だから このいちごは あげられないよ」

いぬさん:「そっかぁ ざんねん。」

シーン④:鳥との出会い

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今度は鳥を見つけて木の実をねだる「いぬさん」。絵本製作当時、私の中で「小さな子供」のイメージは「人のものを何でも欲しがる」でした。

しばらくすると とりさんが ちかくに とんできました。

いぬさん:「とりさん こんにちは。きのみを もっているの?ねぇねぇ それ ちょうだい。」

シーン⑤:鳥との出会い その2

鳥の性別はメスを意識していますが、当時は女性のキャラクターや話し口調を取り入れるのが気恥ずかしく感じてしまい、登場キャラクターは全て男性口調なところがあります。

とりさん:「やぁ いぬさん こんにちは。このきのみは あげられないよ。」

いぬさん:「えー。どうして?」

シーン⑥:鳥の家族

鳥の子供たちも3匹。それぞれ個性を持たせようと意識しています。

とりさん:「この きのみは いえでまっている こどもたちのために はこんでいるんだ。だから あげられないよ」

いぬさん:「そっかぁ。ざんねん。」

シーン⑦:悲しむ「いぬさん」

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涙を流す「いぬさん」。困ったことがあっても、一人では何もできません。

いぬさん:「だれも たべものをくれない。おなか すいたよう。えーん。えーん。」

そのとき

ずしーん!ずしーん!

いぬさん:「あ!このあしおと もしかして」

シーン⑧:象との出会い

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ゾウのデザイン・色塗りは妻が担当してくれました。重厚感がありますね。

ぞうさん:「やぁ いぬさん。こんにちは。どうしたの?ないているの?」

いぬさん:「やっぱり ぞうさん。こんにちは。おなかがすいて ないてたんだ。ねぇねぇ なんか ちょうだい。」

シーン⑨:親切な象

ただでさえ一切動かない「いぬさん」ですので、同じようなシーンが続いて読み手が飽きないように、できるだけ色んなアングルから描くよう心掛けました。

ぞうさん:「おなかがすいているんだね。じゃあ このりんご あげるよ。」

いぬさん:「えっ。ほんとう。やったぁ ありがとう。」

シーン⑩:おいしいリンゴ

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リンゴの色塗り担当も奥さんです。私の絵と違って立体感があります。

いぬさん:「むしゃむしゃ ごくん。むしゃむしゃ ごくん。」

いぬさん:「りんご おいしいなぁ」

シーン⑪:親切な「いぬさん」

いぬさんは今度は逆に食べ物を求められますが、快くりんごを分け与えます。

とりさん ありさん:「やぁいぬさん おいしそうな りんごだね。ねぇねぇ それ ちょうだい」

いぬさん:「あっ とりさん。ありさん。うん いいよ このりんご わけてあげる。」

シーン⑫:お返しの食べ物

色塗りは未完成のままです。

とりさん ありさん:「いぬさん。どうも ありがとう。おれいに この いちごと きのみ あげるよ。」

シーン⑬:種の成長

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太陽があたたかく見守ります。

たべおわった りんごのたねを じめんに まくと めがでて どんどん せいちょう しました。

シーン⑭:(最終シーン)たくさんの食べ物

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やがて おおきな りんごの きに せいちょうしました。

いぬさん:「わーい。りんごが たくさん。みんなで たべよう。」

いぬさん:「みんなで たべると おいしいね。」

おしまい。

手作り絵本で世界に一つだけのプレゼントを

この絵本を娘にはじめて見せたのは、今は5歳の娘(2023年現在)が確か2~3歳の時だったと思います。

紙を見るとすぐにビリビリに破くので、タイミングを見計らいました。見せた時は、とても喜んでくれたのを今でも覚えています。

「これ、パパとママ(が)描いた?」「いぬさん?」「ありさん!」「いちご!」「これ、ぞうさん!」と、見たままに発言して興味津々でした。

買った絵本の読み聞かせと違って、手作り絵本は、作る過程から家族の思い出になります。そして、出来の良し悪しに関係なく、特別な一冊になります。

娘も、5歳になった今でも、買った絵本とは別の場所に大事そうにしまってくれています。

ぜひ、一度やってみて下さい!

記事を読んで頂いてありがとうございました!

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