注文の多い料理店

注文の多い料理店 絵本

2人の漁師が山奥を歩いていた。ぴかぴかの鉄砲と白熊のような犬2匹を携えて猟をしていたが、まったく成果が挙がらない。山は物凄く不気味で、山から引きあげることにした彼らは道に迷い、その上空腹に襲われて弱気になる。

 その時ふと後ろを見ると、そこには立派な西洋造りの一軒家がある。そして玄関には、「西洋料理店 山猫軒」という札が出ていた。「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」と書かれていることに安堵し店内に入った2人の目の前に、再び扉が現れる。

 扉の上には黄色い文字で、「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」と書かれている。2人はこの文言を「客が多く注文が込み合っている」という意味だと捉え、さらに奥に進む。

扉はまだまだ続き、その度に「履物の泥を落としてください」「鉄砲と弾丸をここに置いてください」「帽子を脱いでください」「壺の中のクリームを顔や手足に塗ってください」など、2人への「注文」は続く。

進んだ先の扉の裏側には、「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。もうこれだけです。どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさんよくもみ込んでください」と書かれている。ここで初めて2人は、この店は「客に西洋料理を食べさせる店」ではなく、「客を西洋料理にして食べる店」だと気づき震えあがる。

 逃げようとするも扉が開かず、2人は顔がくしゃくしゃになるほど泣いてしまう。するとそこへ、白熊のような犬が2匹飛び込んで来て、暗闇の中で「にゃあお、くゎあ、ごろごろ」という鳴き声がして、山猫軒の建物は霧のように消えていった。

注文の多い料理店

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